本文へスキップします。

気候変動への対応 (TCFD)

パソナグループは、政府主導の「チーム・マイナス6%」プロジェクトが開始された2005年より、グループ各社の役職員で構成する「環境委員会」を設置しました。
以来、次世代に健全で美しい地球を残すため、役職員への環境教育はもとより、一人ひとりが「ソーシャルアクティビスト」として活動する機会の創出に取り組んできました。
近年、世界レベルでの環境破壊や地球温暖化、異常気象、生態系の破壊などが深刻化する中、ソーシャルソリューション・カンパニーとして、パソナグループが目指すサステナブル経営のあり方を発信し、社会から信頼されるロングセラーカンパニーであり続けるために、2021年6月に「パソナグループ環境イノベーション戦略」を策定し、同年7月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明いたしました。
2021年より、環境マネジメント推進会議を発足し、気候変動シナリオ分析および気候変動によるリスクと機会における事業インパクトの明確化を実施しております。
今般、この結果を踏まえ、TCFD提言に沿った気候関連情報を開示いたします。

パソナグループ環境宣言

パソナグループは、持続可能な社会の実現を目指し、将来を担う次の世代に健全で美しい地球環境を残すため、あらゆる場面で限りある資源を大切にし、企業活動を通して環境保全活動に努めると共に、豊かな地域社会を築きます。

環境保全への意識を高める

全ての役職員やエキスパートスタッフ、その家族に共感の輪を広げ、環境保全に関する高い意識と関心を持ち、行動します。

環境保全活動を推進する

当社と関わる全てのステークホルダーの方々と共に、環境保全活動の推進に向けて協働し、活動の輪を広げます。

環境分野で新たな価値を創造する

環境保全に向けた新たなイノベーションの創出に挑戦し、社会と共に豊かな地球環境を創ります。

ガバナンス

環境マネジメント推進会議では気候変動課題における現状確認、及び対応の方針とアクションプランを策定しております。
リスクマネジメント委員会では、気候変動のリスクマネジメントに関する事項についての審議を行い、内部監査部門は各部門や関係会社に対する環境監査を実施しております。
取締役会は、気候変動に関する重要な事項について、環境マネジメント推進会議から報告を受け適切な助言を行うことで、モニタリングを図っております。

取締役会 気候変動対応の監督 年1回以上
環境マネジメント推進会議 気候変動対応の方針決定
気候変動対応のアクションプランの策定
月1回以上
管掌役員 取締役副社長執行役員Pasona Way本部長  

戦略I

当社グループでは、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を明確にし、「リスク」を低減し、「機会」を拡大するため シナリオ分析に着手しました。シナリオの事業対象範囲の設定を検討するにあたり、①売上構成、②気候変動との関連性、③データ収集の難易度を総合的に勘案し、国内のエキスパートサービス・BPOサービス・地方創生事業を分析対象範囲といたしました。
当該対象範囲において、複数の気候変動シナリオ(1.5~2℃と4℃)に基づき、2030年におけるリスクと機会を分析しました。
分析プロセスと特定した主要なリスク・機会は以下の通りです。

分析プロセス

リスク・機会の
重要度評価

シナリオ群の定義

事業インパクト
評価

対応策の定義

リスク・機会項目

気候変動を緩和することを目的とした低炭素社会への移行にともなう、政策、法律、技術、市場の変化によるリスクと機会
移行リスク
  1. 温室効果ガス排出規制
  2. 炭素価格の上昇
移行機会
  1. CO₂排出量の可視化に関するBPO事業
  2. 環境教育事業
気候変動による災害等により顕在化するリスクと機会
物理的リスク
  1. 異常気象の激甚化
  2. 平均気温の上昇
物理的機会
  1. 自治体や保険会社等への事務支援

戦略II

特定したリスク・機会に関して、 1.5~2℃シナリオ/ 4℃シナリオそれぞれについて具体的なシナリオを描き、2030年における事業への財務的影響を、定量的かつ定性的に検証いたしました。
シナリオ分析においてはIPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change)や国際エネルギー機関(IEA︓International Energy Agency)、環境省等が発⾏するレポートを参照しております。

1.5~2℃シナリオ

産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温が2℃未満に抑えられることを想定したシナリオ。
気候変動対策の政策・法規制が大幅に強化され、脱炭素に向けて社会変容が発生する。

4℃シナリオ

産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温が4℃程度上昇することを想定したシナリオ。
気候変動対策の政策・法規制、および脱炭素社会への移行が進まず、気候変動の物理的なリスクが顕在化する。

移行リスクにおいては、当社グループにおける直接的な影響のみならず、取引先が影響を受けることによる間接的影響(取引の終了等による売上減少)も検証いたしました。検証の結果、直接的影響は事業に影響を及ぼす重大なリスクは特定されず、間接的影響においても、当社の売上構成比は特定の業界への偏りがないため同様に重大なリスクは特定されませんでした。
物理的リスクにおいても、BCP対策を既に進めていることや、働き方改革の推進やコロナ対応としてリモート環境が整っていることから、事業に影響を及ぼす重大なリスクは特定されませんでした。
また、パソナグループは気候変動に対するレジリエンスを有していることを確認するとともに、対応方針についても検証いたしました。
今後も継続的に評価の⾒直しと情報開⽰の充実を進めていきます。

※使用した主要なシナリオ
【1.5~2℃シナリオ】
IEA SDSシナリオ (Sustainable Development Scenario)、IEA NZEシナリオ (Net Zero Emissions Scenario)、IPCC RCP 2.6
【4℃シナリオ】
IEA SPSシナリオ (Stated Policies Scenario)、IPCC RCP 8.5

戦略 (機会)

国内外において脱炭素に向けた動きが加速し、特に上場企業においては、気候関連財務情報の開示や、サプライチェーンも含めたカーボンニュートラルの実現を目指した対応が求められています。
しかしながら、多くの企業ではCO₂排出量可視化のノウハウはもとより、それに伴う煩雑な作業を行うリソースが不足しているのが現状です。また、従業員へのSDGs 教育も課題のひとつです。
当社連結子会社のキャプラン株式会社では、CO₂排出量の可視化や関連業務を支援する「BPOサービス」と、従業員への「環境研修サービス」を提供しております。

1. 環境問題・気候変動関連の企業向け研修

キャプラン株式会社の幅広い講師ネットワークや、パソナグループ各社の役職員8,000名以上を対象に実施してきた環境教育のノウハウを活用し、各企業の課題に合わせてカスタマイズした「環境研修サービス」を提供しております。
社内の意識改革を図ると共に環境領域で新しい挑戦を担う人材を育成してまいります。

2. CO₂可視化のBPO事業

パソナグループの有するBPOサービスのノウハウを組み合わせ、CO₂排出量の可視化をGHG(温室効果ガス)排出量算定・可視化クラウドサービスを提供することでシステムとオペレーションの両面から支援しております。

リスク管理

当社グループでは、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止し、万一発生した場合には損失の極小化を図るため、リスクマネジメント規程を定め、リスクに関する統括組織としてリスクマネジメント委員会を設置しております。
気候変動によるリスクは、環境マネジメント推進会議において、関連する法規制や事業に影響を及ぼす自然災害を特定し、気候変動への対応を議論した上で、リスクマネジメント委員会で全体のリスクマネジメントプロセスに統合しております。
また、その内容については定期的に取締役会で報告し、対応状況の把握と進捗の管理、見直しを実施することで、気候変動リスクに対するマネジメント体制を構築しています。


指標・目標につきましては、今後段階的な開示の拡充を検討してまいります。